日本の家電市場とECで何が売れている?小型家電・デジタル製品の販売動向と最新データ【2026年版】
JEMAの国内出荷(2026年1〜8月)、経済産業省のEC化率(2024年)、JEITA・NIQのデータから、金額が大きい家電・伸びている家電・下がっている家電を整理。商品ページとPR素材への示唆も解説します。
Gloture編集部公開 約12分
出荷・EC化率のデータで見る家電市場
- JEMA 2026年1〜8月
- 経済産業省 EC化率 2024年
- JEITA
- NIQ 2024年
目次
この記事の結論 2026年1〜8月の国内出荷データを見ると、市場全体を押し上げているのはルームエアコンで、小型家電の中では食器洗い乾燥機、電子レンジ、ヘアドライヤー(金額)などが前年を上回る一方、掃除機、空気清浄機、電気シェーバー、電動歯ブラシ、扇風機は前年を下回っています。また、家電・AV機器・PC等はECでの購入比率が物販全体よりはるかに高いカテゴリです(2024年、経済産業省)。「売上が大きいカテゴリ」と「伸びているカテゴリ」は別物で、さらに季節要因や前年の反動も大きく効いています。数字を自社の商品に当てはめるときは、何の数字なのか(出荷か、小売販売か)と期間を必ず確認してください。
データの確認日:2026年10月7日。各数値の出典・期間・単位は、表や本文の近くに記載しています。
この記事で使うデータと、その範囲
数字の意味を取り違えないよう、最初に使うデータの性格を整理します。
| データ | 何の数字か | 期間 | 公表 |
|---|---|---|---|
| 経済産業省 電子商取引に関する市場調査(日本語/英語版リリース) | 国内の消費者向けEC市場規模と、物販に占めるECの割合(EC化率) | 2024年(暦年) | 2025年8月26日 |
| 日本電機工業会(JEMA)民生用電気機器 国内出荷実績 | メーカーなどからの国内出荷の数量・金額(販社出荷ベース。ルームエアコンは日本冷凍空調工業会の調査) | 2026年1〜8月累計、2026年8月 | 2026年9月18日 |
| 電子情報技術産業協会(JEITA)民生用電子機器 国内出荷統計 | テレビ・オーディオなどの国内出荷 | 2026年8月 | 2026年9月 |
| NIQ 2024年 家電・IT市場動向 | 家電量販店やネット通販などのPOSデータ等から推計した小売販売 | 2024年(暦年) | 2025年2月20日 |
出荷は「メーカーなどから流通へ出た量」で、店頭やECで消費者が買った量(小売販売)とは一致しません。在庫の積み増しや、発売時期のずれによって、出荷と販売の動きが食い違うこともあります。また、上記のデータはいずれもカテゴリ全体の数字で、特定のブランドやモデルの売れ行きを示すものではありません。
ECは家電で特に大きい購入チャネル
経済産業省の調査によると、2024年の国内の消費者向けEC市場(BtoC-EC)は26.1兆円で、前年から5.1%増えました。物販系分野は15兆2,194億円(前年比3.70%増)、物販全体に占めるECの割合(EC化率)は9.78%です(2023年は9.38%)。
カテゴリ別に見ると、家電まわりのECの比率は突出して高くなっています。
| 分野(物販系) | EC市場規模(2024年) | EC化率(2024年) |
|---|---|---|
| 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 | 2兆7,443億円 | 43.03% |
| 生活雑貨、家具、インテリア | 2兆5,616億円 | 32.58% |
| 物販系分野 合計 | 15兆2,194億円 | 9.78% |
出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表、2024年暦年の数値)。数値は同省の英語版リリースで確認しました。EC化率は、物販系分野の商取引金額に占めるEC市場規模の割合です。
物販系分野のEC化率(2024年)
- 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等43.03%
- 生活雑貨、家具、インテリア32.58%
- 物販系分野 合計9.78%
ここから言えるのは、家電・AV機器・PC等では、商品を探して選ぶ場面の多くがECで起きているということです。一方で、この数字から「残りの約57%は店舗で売れている」と単純に読むことはできません。EC化率の定義上、EC以外にはさまざまな取引が含まれるためです。店頭の動きは、別の記事「家電量販店では何が売れている?」で、各社の公表資料から見ていきます。
なお、2025年の数値を含む新しい調査結果は、確認日時点では公表されていませんでした。
2026年1〜8月:出荷金額が大きいカテゴリ
JEMAの民生用電気機器の国内出荷金額は、2026年1〜8月累計で1兆9,326億円、前年同期比108.8%(8.8%増)でした。8月単月では2,130億円、前年比117.4%(17.4%増)で、12か月連続のプラスです(JEMA 2026年8月度コメント、データ)。
| 品目 | 出荷金額(2026年1〜8月累計) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| ルームエアコン | 8,395億円 | 123.9% |
| 電気冷蔵庫 | 2,556億円 | 100.0% |
| 電気洗濯機 | 2,485億円 | 99.6% |
| 掃除機 | 825億円 | 93.8% |
| ジャー炊飯器 | 673億円 | 99.2% |
| 電子レンジ | 660億円 | 102.1% |
| IHクッキングヒーター | 532億円 | 101.2% |
| 食器洗い乾燥機 | 376億円 | 110.9% |
| ヘアドライヤー | 308億円 | 102.2% |
| 電気シェーバー | 303億円 | 86.0% |
| 空気清浄機 | 257億円 | 92.0% |
出典:JEMA「民生用電気機器 国内出荷実績 2026年8月度」(2026年9月18日公表)。金額は百万円単位の公表値を億円に換算し、1億円未満を四捨五入。販社出荷ベース。ルームエアコンは日本冷凍空調工業会の調査による。
金額の大きさでは、ルームエアコンが他を大きく引き離しています。冷蔵庫、洗濯機が続き、小型家電で金額が大きいのは掃除機、炊飯器、電子レンジです。
2026年1〜8月:伸びているカテゴリ、下がっているカテゴリ
金額の大きさと伸び率は別の話です。同じ期間の前年同期比を並べると、次のようになります。
国内出荷金額 前年同期比(2026年1〜8月累計・JEMA)
- ルームエアコン123.9%
- 食器洗い乾燥機110.9%
- トースター102.6%
- ジャーポット102.5%
- ヘアドライヤー102.2%
- 電子レンジ102.1%
- IHクッキングヒーター101.2%
- 電気冷蔵庫100.0%
- 電気洗濯機99.6%
- ジャー炊飯器99.2%
- 掃除機93.8%
- 空気清浄機92.0%
- 電気アイロン90.2%
- 電気シェーバー86.0%
- 扇風機85.7%
- 電動歯ブラシ84.6%
前年を上回ったカテゴリ(金額)
- ルームエアコン:123.9%(23.9%増)
- 食器洗い乾燥機:110.9%
- トースター:102.6%、ジャーポット:102.5%、ヘアドライヤー:102.2%、電子レンジ:102.1%
前年を下回ったカテゴリ(金額)
- 電動歯ブラシ:84.6%、扇風機:85.7%、電気シェーバー:86.0%
- 電気アイロン:90.2%、空気清浄機:92.0%、掃除機:93.8%
(いずれもJEMA、2026年1〜8月累計の前年同期比)
なお、加湿器は前年同期比121.4%ですが、1〜8月累計の金額は14億円と小さく、時期的にも需要期の前です。小さな数字の伸び率は大きく振れやすいため、ここでは「伸びている」とは扱っていません。
金額と台数で、動きが違うカテゴリ
同じカテゴリでも、出荷金額と出荷台数で前年比が異なる場合があります。
| 品目 | 台数 前年同期比 | 金額 前年同期比 |
|---|---|---|
| ヘアドライヤー | 94.1% | 102.2% |
| トースター | 97.8% | 102.6% |
| ジャーポット | 97.5% | 102.5% |
| ジャー炊飯器 | 96.4% | 99.2% |
| 食器洗い乾燥機 | 104.6% | 110.9% |
| 電子レンジ | 103.3% | 102.1% |
| 掃除機 | 93.8% | 93.8% |
| 電気シェーバー | 83.3% | 86.0% |
出典:JEMA「民生用電気機器 国内出荷実績 2026年8月度」、2026年1〜8月累計。
ヘアドライヤーやトースターは、台数が前年を下回る一方で金額は前年を上回っています。出荷金額の伸びが台数を上回っているということで、より価格の高い製品の比率が上がっていることなどが考えられますが、統計からは理由までは分かりません。いずれにしても、「台数が減っている=需要がない」とは言い切れないカテゴリがあることが分かります。
季節要因と前年の反動に注意
2026年の数字は、季節要因と特殊要因の影響を強く受けています。
- ルームエアコン JEMAは8月のコメントで、省エネ法の目標年度を前にした需要の高まり、自治体の補助金、猛暑が出荷を押し上げたと説明しています。8月単月の出荷金額は893億円、前年比154.3%でした(JEMA)。
- 掃除機 8月単月の出荷台数は339千台、前年比82.7%で、4か月連続のマイナスです。うちスティック形は227千台、同76.8%でした(同上)。
- 扇風機 1〜8月累計で金額85.7%と前年を下回っています。気温や天候の影響を受けやすいカテゴリで、年ごとの比較には注意が必要です。
エアコンのような大型の季節家電が伸びる年は、量販店の売場や販促の中心もそちらに寄ります。小型家電にとっては、その時期に売場や記事で取り上げられる機会が相対的に少なくなる可能性もあります(これはGlotureの見方で、統計で確かめたものではありません)。
デジタル製品・オーディオ(JEITA)
テレビ・オーディオなどの民生用電子機器では、2026年8月の国内出荷金額が705億円、前年比98.8%でした。オーディオ関連機器は37億円、同84.5%、ステレオヘッドホンは255千台、同99.1%です(JEITA 2026年8月)。単月の数字なので、年間の傾向として読むには注意が必要です。
小売販売の側では、NIQが2024年(暦年)の動向として、ヘッドホン/ヘッドセット市場が前年と同規模の1,890万本だった一方、完全ワイヤレスイヤホンは前年比11%増、そのうちノイズキャンセリング機能を訴求したものは19%増、耳を塞がないオープンイヤー型は54%増だったと公表しています。同じ2024年には、デジタルカメラが前年比16%増の140万台、掃除機は0.2%増の740万台で、スティックタイプの構成比が60%に拡大しました(NIQ)。
これらは2024年の小売データで、2026年の出荷データとは期間も集計方法も違います。同じ表やグラフに並べて比較することはしていません。
何が言えて、何が言えないか
このデータで言えること・言えないこと
言えること
- 2026年1〜8月の出荷で、どのカテゴリが前年を上回り、どこが下回ったか
- 金額の大きいカテゴリと、伸び率の高いカテゴリは違うこと
- 家電まわりはEC化率が高いカテゴリであること(2024年)
言えないこと
- 特定のブランドやモデルの売れ行き
- 2026年のECと店舗の販売比率
- 出荷の伸びがそのまま店頭の販売の伸びかどうか
- 伸びている理由(統計に記載がないもの)
商品ページ・PR素材への示唆
ここからは、データをもとにしたGlotureの考え方です。
1. 「伸びているカテゴリ」でも、選ばれる理由は自分で示す必要がある 食器洗い乾燥機や電子レンジのようにカテゴリ全体が伸びていても、個々の商品が選ばれるかは別です。カテゴリの成長はニュースの背景にはなりますが、商品の新しさの代わりにはなりません。
2. 「縮んでいるカテゴリ」では、買い替えの理由を言葉にする 掃除機、シェーバー、空気清浄機などは前年を下回っています。すでに持っている人が多いカテゴリでは、「何が今までと違うのか」「どんな不満が解消されるのか」を具体的に伝えることが、記事にも商品ページにも必要です。
3. 金額と台数のずれは、価格帯の説明が大切なサイン 台数が減って金額が増えているカテゴリでは、価格の高い製品が選ばれている可能性があります。高価格帯の商品なら、価格に見合う理由(素材、性能、時間の節約など)を、写真やスペックで裏づけて示すことが重要になります。
4. ECで選ばれる前提で、商品ページとPR素材を揃える 家電まわりはEC化率が43.03%と高いカテゴリです(2024年)。記事を読んだ人が検索したときに、商品名の表記、価格、写真、スペック、保証が揃った商品ページにたどり着けるかが、PRの成果を左右します。素材の揃え方はガジェット商品のPR素材チェックリストと商品PRに必要なプレスキットとは?にまとめています。
5. 季節に合わせて、伝える時期を選ぶ 季節家電はもちろん、エアコンが売場の主役になる時期には、小型家電の話題がほかの時期より埋もれやすいかもしれません。発売時期とPRの時期は、新商品発売前のPRスケジュールを参考に逆算して決めます。
データの限界
- 出荷と小売販売は違う JEMA・JEITAは出荷、NIQは小売販売の推計、経済産業省はEC市場の推計です。互いに直接比較できる数字ではありません。
- 期間が揃っていない EC化率は2024年、出荷は2026年1〜8月です。2025年の数値を含む経済産業省の新しい調査は、確認日時点で公表されていませんでした。
- ブランド別・モデル別の売れ行きは分からない 公的な統計にはブランドやモデルごとの数字は含まれていません。ECモールのランキングは特定時点の一部の売れ行きを示すもので、国内の販売統計ではありません。
- NIQの2025年以降の結果 業界紙などで報じられていますが、本記事ではNIQ自身の公表ページで確認できた2024年の結果のみを使っています。
- 数値は速報や改定の対象になる JEMAは各月のデータが追って修正されることがあるとしています。
まとめ
データの要点
- 1金額が大きい
大型家電が中心
- エアコン 8,395億円(1〜8月)
- 冷蔵庫・洗濯機が続く
- 小型では掃除機・炊飯器・電子レンジ
- 2伸びている
一部の調理・理美容家電
- 食器洗い乾燥機 110.9%
- 電子レンジ 102.1%
- ヘアドライヤー 102.2%(台数は94.1%)
- 3下がっている
普及済みのカテゴリ
- 掃除機 93.8%、空気清浄機 92.0%
- 電気シェーバー 86.0%
- 電動歯ブラシ 84.6%、扇風機 85.7%
販路の組み立て方は日本で新商品を売る前に考える販路設計、店頭の動きは家電量販店では何が売れている?で整理しています。
Glotureができること
Glotureは商品PRの会社です。売れる商品を選んだり、販売を代行したりすることはありません。お手伝いできるのは、市場の動きをふまえて商品の新しさと選ばれる理由を整理し、メディアと生活者に伝わる商品ストーリー、プレスリリース、PR配信、メディアアプローチ、Modern-Gでの紹介、掲載レポートにつなげることです。売上やメディア掲載をお約束するものではありません。PR予算は30万円からご相談いただけます。
この記事は、株式会社Glotureの商品PR支援経験をもとに編集しています。
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